「痴漢」に関するお役立ち情報
痴漢で逮捕された後の流れ
1 痴漢で逮捕された後の流れ
痴漢事件を起こしてしまった場合、警察署で身柄を拘束しない在宅事件のケースと、事件後に逮捕され警察施設で身柄が拘束されて捜査をする身柄事件の2つの流れに分かれます。
仮にまだ捜査段階で逮捕されていない在宅事件の状況であったとしても、捜査が続く限り起訴される可能性はあります。
そこで今回は、痴漢事件で逮捕された場合のその後の流れをご説明します。
まず、痴漢で逮捕された後の流れを身柄事件・在宅事件それぞれのケースで見ていきましょう。
⑴ 身柄事件の場合の逮捕後の流れ
身柄事件とは、被疑者の身柄を拘束して事件の取調べなどを行う捜査手続きのことです。
痴漢事件の場合、犯行直後に被害者が駅員に報告する・周囲の人が通報するなどの形で痴漢が発覚し、現場で警察官に事情聴取され、そのまま警察署に連れて行かれるケースが一般的です。
その後の流れとしては以下のようになります。
《身柄事件の逮捕後の流れ》
犯行現場・警察署にて逮捕(または現場から逃れても、後に犯人が特定され、逮捕状が執行されて逮捕)→取調べ→検察へ送致→勾留請求→勾留開始(最大20日)→起訴・不起訴決定→裁判→判決により事件解決
①警察での取調べ
警察署では、事件の内容について詳しく事情を聴取されるなどの取調べが行われます。
聞き取った内容については、供述調書というものが作成され裁判での証拠になります。
供述調書では署名と指印をする前に内容に間違いがないよう確認しなければいけません。
事実と異なる内容が記載された供述調書に署名してしまった場合、後の裁判で真実を話すこともできます。
しかし、法廷での供述よりも、供述調書の方が信用性が高いと評価され、やってもない犯罪で刑罰を受ける危険があるので、事実と違う内容の調書には安易にサインしてはいけません。
②検察から勾留請求へ
逮捕後は48時間以内に検察官に身柄が送致されます。
検察官は身柄を受け取ってから24時間以内に裁判官に対して勾留請求をします(勾留請求をしないときは釈放しなくてはなりません)。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に勾留質問を行い、嫌疑の有無、逃亡や証拠隠滅のおそれを審査して、勾留の可否を判断します。
仮に勾留が決定すると、勾留請求の日から10日間身柄を拘束されます。
その後、捜査が未了であることを理由として、さらに最大で10日延長されることが通常です。
③起訴の判断と裁判
検察官は勾留期間中に起訴・不起訴を決定し、起訴しない場合は釈放しなくてはなりません。
起訴したら1か月から1か月半程度で裁判となります。
起訴されると99%以上の確率で有罪となるでしょう。
⑵ 在宅事件の流れ
在宅事件とは、身柄拘束を受けないまま捜査が進められるケースのことです。
最初から逮捕・勾留されないケースと、逮捕・勾留されたものの途中で釈放されるケースがあります。
《在宅事件の流れ》
事件後発覚→逮捕されない場合、または逮捕されたが釈放された場合→出頭要求に応じ任意捜査→検察による取調べ→起訴・不起訴決定→裁判
このようなケースは、被疑者と断定しがたい場合や逃走・証拠隠滅の可能性がない、犯罪行為の態様として軽いと判断されたと考えられます。
ただ、釈放されたとしても、その後の捜査は続くため、警察から出頭要求には応じなければいけません。
また、釈放されたからといって、不起訴と決まったわけではないため、場合によっては数か月以上、不起訴・起訴の判断を待つことになります。
2 痴漢で問われる罪
⑴ 迷惑防止条例違反
痴漢行為で一番多い罪名は「迷惑防止条例違反」です。
迷惑防止条例は各都道府県が施行する条例であり、少しずつ規定内容が異なりますが、次にご説明する不同意わいせつ罪に比べて、行為態様として軽いと判断される痴漢行為に適用されます。
具体的には、服や下着の上から他人に触れるような行為などを指します。
もっとも、執拗である場合は、これよりも重い「不同意わいせつ罪」で裁かれることもあります。
⑵ 不同意わいせつ罪
迷惑防止条例ではなく「不同意わいせつ罪」として逮捕されることもあります。
不同意わいせつ罪は、迷惑防止条例違反とは異なり刑法上の犯罪です。
具体的には、下着の中まで手を入れた場合など、衣服や下着で隠れた部分に対し直接触れた場合に適用されます。
迷惑防止条例違反であれば、罰金あるいは不起訴という可能性もありますが、不同意わいせつ事案の場合には、警察や検察も重く受け止め起訴の可能性が高くなります。
起訴されると執行猶予がつかない実刑の可能性もあります。
3 痴漢で逮捕された場合の弁護士依頼のメリット
⑴ 身柄事件の場合
まず、身柄事件の場合には、弁護士に依頼することで以下のようなメリットが考えられます。
・弁護士から取調べのアドバイスが受けられる
・勾留回避の可能性が高くなる
・不起訴の可能性も高くなる
・示談がスムーズに進む
身柄事件の場合、逮捕されそのまま警察に連れて行かれるケースがほとんどです。
この場合、法的な助言もないまま捜査を進められると、どう対応したら良いか戸惑うのが通常です。
弁護士に依頼すれば、捜査官による取調べの際の法的アドバイスが受けられるため、不利な供述をするリスクが減ります。
また、納得できない調書にサインする可能性も減るでしょう。
そして、勾留となると長期拘束となるため、逮捕3日以内の釈放を目指して弁護活動を行います。
弁護活動により勾留のリスクも減少するため、生活への影響を最小限にできる事が期待できます。
さらに、依頼後すぐに示談に向けて動き出すため、不起訴の可能性も高くなります。
示談がまとまれば、初犯かつ迷惑行為防止条例違反であれば不起訴となる可能性は高いといえるでしょう。
⑵ 在宅の場合
在宅事件の場合は、事件が長期化する可能性があります。
この場合は、弁護士に依頼することには以下のようなメリットがあります。
・今後の逮捕の見通しなど対策をたてられる
・精神的負担が減る
・逮捕前に相談ができる
・不起訴に向けて示談などの弁護活動ができる
「逮捕の可能性がある」と心配している方は、心労が大きいことと思います。
弁護士に相談すれば、仮に逮捕された場合でもどのように対応すればよいかの対策をたてることができます。
これにより、精神的負担が大きく軽減するはずです
逮捕前に相談をすることで、示談を早期にまとめるなどの不起訴に向けた活動が可能となり、事件の早期解決に繋がりやすくなります。