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「万引き・窃盗」に関するお役立ち情報

万引きで逮捕されたら前科を避けるために示談交渉を

  • 最終更新日:2025年1月10日

1 「万引き」は窃盗罪

「店頭に並んでいる商品を、お金を払わずに持ち帰ること」を一般的に「万引き」といいますが、この行為は法律的に「窃盗」と呼ばれます。

つまり、万引きして問われる罪は「窃盗罪」です。

刑法には、窃盗罪についての条文が記載されています。

【刑法第235条】

“他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する”

窃盗事件を犯しても、初犯かつ被害額が軽微で盗品が返還されているか、賠償済みであれば、起訴猶予として不起訴になることが多く、仮に起訴されたとしても、10年以下である懲役刑ではなく50万円以下の罰金刑になることが多いです。

もっとも、「同種犯罪の余罪がある」「被害金額が高額」「犯行が計画的で悪質」などの場合は、起訴された上、罰金刑ではなく懲役刑になることもあります。

2 万引き後の刑事手続きの流れ

万引きをした場合、容疑者は逮捕され、引き続き勾留される可能性があります。

ここでは、万引き行為後の刑事手続きの流れを説明します。

⑴ 事件の発覚から逮捕

万引きでの逮捕は「現行犯逮捕」が多くを占めます。

商品をポケットや鞄に入れたときや、支払いをせず店外に出たときに声を掛けられるケースなどはイメージしやすいでしょう。

また、その場で逮捕されなくても、被害届を端緒とする捜査活動の結果、防犯カメラの画像や転売の履歴などの証拠を発見した場合、裁判官に逮捕状を請求して行う「通常逮捕(後日逮捕)」が行われる可能性もあります。

⑵ 逮捕から勾留

逮捕後、まずは警察に事情を聞かれます。

その後、被疑者の身柄は、警察官から検察官に送致されます。

そこでも取調べを受けるのですが、悪質な場合や再販の場合は釈放されず、逮捕に続き勾留請求される可能性があります。

裁判官が勾留を認めた場合、被疑者は勾留されます。

勾留請求は、検察官が被疑者の身柄を受け取ってから24時間以内、かつ、逮捕から72時間以内に行われます。

もっとも、勾留は必ずされるというわけではなく、以下の理由がある場合に行われます。

・住居が不定

・容疑を否認していること等により、逃亡や罪証隠滅のおそれがある

勾留されると、10日間(延長により最大20日間)の身体拘束が行われます。

⑶ 起訴、刑事裁判

勾留後、検察官が起訴の判断を下すと、被告人は刑事裁判にかけられることになります。

万引きの場合、多くは罰金刑です。

ただし、過去に何度も万引きを繰り返していたり、犯行が悪質だったりする場合は懲役刑になることもあるので、一概には言えません。

3 万引きでも「前科」がつく

さて、先ほど「万引きの場合、多くは罰金刑」と書きましたが、罰金刑は有罪判決ですので「前科」がつくということです。

前科がつくと、仕事を中心に、生活に様々な悪影響が及びます。

⑴ 資格制限

前科があると、資格の制限を受ける職業が多くあります。

医師や看護師、公務員、会計士、建築士など多岐にわたります。

職種によって資格制限の条件や内容が異なっていますので、何らかの資格をもって仕事をしている人は、一度確認してみることをおすすめします。

⑵ 就業規則による懲戒処分

また、資格などを持っていなくても、通常、就業規則に有罪判決を受けた場合の懲戒処分が記載されています。

⑶ 就職活動への影響

前科があるのに履歴書の「賞罰」欄に記載しないと「虚偽記載」となり、事実が発覚した場合に懲戒処分を受ける場合があります。

最悪、解雇される可能性もあります。

このリスクを回避したいなら、前科があることを申告しながら就職活動をすることになるため、現代の社会事情からすると極めて不利な立場におかれます。

⑷ 社会の目

特に人の少ない地方などの場合、「××さん、万引きで捕まって罰金払ったんだって」などという噂が広まってしまうことも大いに考えられます。

場合によっては自分だけではなく、家族などが好奇の目にさらされてしまうかもしれません。

4 万引きを不起訴にするには「示談」が重要

先述のとおり、起訴されるということは前科がつく、ということです。

つまり、前科を付けないためには「不起訴」が必要です。

起訴・不起訴を決めるのは検察です。

検察が起訴を決める前に、被害者との間で「示談」を成立させておくと、不起訴になる確率はぐっと上がります。

刑事事件の示談とは、被害者が加害者からの示談金を受け取る代わりに、加害者を宥恕するという合意を交わすことです。

宥恕とは、寛大な気持ちで許すという意味です。

この合意が交わされた証拠とするために作成するのが「示談書」です。

示談書を作成して双方が調印し、示談金が受領されたら、示談書と示談金の領収書(または振込明細書)を検察官に提出します。

検察官は被害者に対し、示談の成立と示談金受領の事実を確認した上で、示談の事実を被疑者に有利な証拠として考慮することになります。

検察官が起訴不起訴の判断をする際には、あらゆる事情が考慮されますが、中でも①被疑者の反省の有無、②被害が回復されたか否か、③被害者の処罰感情の有無と程度は、重要な要素です。

示談の事実は、①被疑者が事実を認めて謝罪したこと、②示談金支払で被害を回復させたこと、③被害者の処罰感情が失われたことを示すゆえに、被疑者に有利な事情とされ、不起訴の可能性を高めるのです。

もっとも、大手チェーンのスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどは「被害弁償は受け取るが示談はしない」などと一律で決めているところもあります。

被害弁償だけでも行うことが大切ですが、弁償金の受け取りも拒否される場合は、法務局に供託する、贖罪寄付をして犯罪被害者のために役立ててもらうなど、被疑者の努力、誠意が検察官に伝わる方法を選択しましょう。

5 万引きの示談交渉を弁護士へ依頼するメリット

逮捕された人自身が被害者と示談交渉を行うのは、非常にハードルが高い作業です。

万引きにおける示談交渉は、専門家である弁護士へ依頼すると手続きがスムーズに進むことが期待できます。

その理由は以下の通りです。

⑴ 今後の予測が立てやすくなる

多くの人は、自分や家族が逮捕されるまで「刑事事件」とは無縁だと思っています。

そのため、刑事事件についての知識もほとんど持っていないことでしょう。

一方、弁護士は専門家です。

逮捕後の流れや、本人および家族がとるべき行動などについて、専門家の視点からの適切なアドバイスを受けることで、今後の見通しがつき、不安が解消されます。

⑵ 被害者と直接交渉しなくてよくなる

万引きはもちろん、それ以外の刑事事件においても、「被害者と交渉する」という行為は、被疑者やその家族が非常に苦労する点です。

弁護士に依頼すると、被害者との示談交渉は全て弁護士を介して行うことになります。

「直接交渉しなくていい」という点はもちろん、「弁護士が間に入ると被害者が感情的にならず、冷静に対応してくれやすい」という点も大きなメリットです。

⑶ 不備のない示談書を作成できる

例え示談交渉がうまく進んでも、取り交わす示談書の記載内容によっては、あとからまた紛争が蒸し返される可能性が残ります。

せっかく示談書を交わしても、有利な事情として考慮され難かったり、民事上の賠償問題を残してしまったりする危険もあるのです。

しかし、弁護士は法律の専門家ですから、状況に即した不備のない示談書を作成することができます。

⑷ 不起訴に持ち込める確率が高まる

弁護士が専門的な知見をもってスピーディーに示談へ持ち込むことで、不起訴になる(=前科を付けない)可能性を高めることができます。

6 万引きで逮捕されたら早めに弁護士へ相談!

万引き事件を含む刑事事件を犯してしまい、以降の生活が不安の方は弁護士へご連絡ください。

刑事事件に精通した専門家が、状況に即した最適な対応を探ります。

「たかが万引き」と思っても、犯行を繰り返したり、被害が多額だと裁判所で実刑判決(執行猶予がつかない判決)が下され、刑罰を科される可能性があります。

できる限り早期の相談・依頼を強くおすすめしますので、お困りの方は当法人の弁護士にご相談ください。

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